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龍人伝説

藍染め職人

龍人伝説

藍は生きている

 合成染料等の薬品を一切使わず、昔ながらの手法で藍染めを作る計良 容子(けいら ようこ)さんをご紹介します。

藍染め職人

 藍染めは蓼藍(たであい)という植物の葉を発酵させた「すくも」という染料を使った古くからある染めの一つです。今でこそ伝統工芸として高価なイメージのある藍染めですが、昔は大きな村や町には必ず藍染めを扱う店があったと言われる程、私たち日本人にとって親しみの深いものでした。

 藍染めの染料は「すくも」を入れた甕(かめ)に木灰にお湯を入れた上澄み液を満たし、日本酒やふすま(麦の皮)、石灰などを入れて発酵させて作ります。完成するまでは1週間以上かかりますが、藍の菌が生きているので、出来上がるまでは朝夕かきまぜてやらなければなりません。(かき混ぜないと底の菌が腐ってしまうため)染料の完成後も1日一回かきまぜます。

 染料が完成すると甕に布や糸を浸して空気にさらす(空気にふれて酸化して青く発色します)、この行程を何度も繰り返し深い藍色に染めていきます。

 「青は藍より出でて藍より青し」と諺にも例えられる程、藍染めの青は何とも言えない深い味わいのある色です。更に天然の藍染めは、使えば使う程、洗えば洗う程味わいが増して色が冴え、繊維の強度も増すと言われています。

 現代では、手間暇をかけずに染められる合成染料や科学薬品がありますが、今回ご紹介する計良さんの藍染めは、薬品を一切使わず、江戸時代から続く伝統的な手法と自然の材料を使ったまさにほんものの藍染めです。

藍染めとの出会い

 計良さんの出身は東京。20代の頃は会社員をしていました。子供の頃から染色に興味がありましたが、その頃はあくまで趣味としての染色で、職人として生計をたてる事など考えてもいませんでした。

 それがある日、友人からの薦めもあって京都の工房で染色を体験し、職人としての人生を考え始めたそうです。昔ながらの天然の材料と手法を使った藍染めの素晴らしさに感銘を受けた計良さんは、それまで勤めていた会社を辞め、名古屋の絞り染めを扱う会社を経て、地元東京の藍染め工房で働くようになりました。

 この工房「壺草苑(こそうえん)」の主人が計良さんにとっては藍染めの師匠なのだそうです。

 「壺草苑の紹介で藍染めの染料である“すくも”も産地として有名な徳島の重要無形文化財の技術を持った職人さんから譲っていただいてます。本当にお世話になってます」と計良さん。

 数ある染めの中で藍染めを選んだ理由は、計良さんの好きな染めの手法“絞り染め”(布や糸で縛ったり、縫ったり、板で挟んだりして柄をつける染めの手法)に藍染めが適していたからだとか。

 東京で働いていた計良さんが龍神村へとやって来る事になったきっかけは、ラジオで龍神村に住み、活動をしてくれる人を募集しているというニュースを聞いた事だそうです。

 もともと都会よりも自然の豊かな土地に住みたいと考えていた計良さんはさっそく応募しました。そして2006年の7月に龍神村に引っ越してきたのです。

 「自然が豊かで、温泉もある理想的な環境です」と計良さんも満足そうです。

藍染め体験

 計良さんの工房「藍染計良」では、藍染め体験をスタートしました。
藍染めを知らない人にもその素晴らしさを知ってほしいという思いからです。昔ながらの藍染めの手法を通して自然の大切さを再認識する人もいるとか。

 天然の材料を使っているので、素手で染料にさわっても、口に入っても大丈夫。使えなくなった染料も畑に捨てるのですが、腐葉土と同じ効果があって自然にも優しいのだそうです。

 数人のグループで体験した親子の内の一組が、後日また訪れることもあるとか。

藍染め職人

藍染め職人として

藍染め職人

 将来の夢は?という問いに、計良さんは二つ答えてくれました。

 「一つは藍染め体験を広めていく事。多くの人に体験を通して染めの楽しさを知ってほしいです。堅苦しい事は抜きにして、休みの日には温泉帰りに龍神村の「藍染計良」に行って藍染めをしたい、ごく自然にそう思ってもらえるようになりたいですね。

 もう一つは、藍染め職人として自分を高めていく事。注文してくれたお客様が喜んでくれる事はもちろんですが、ずっと愛用してくれるようなもの、また頼みたいと思ってくれるような品物を作っていきたいです」

 自らを芸術家ではなく、職人と呼ぶ計良さん。その言葉に藍染めに対する真摯な思いの深さと愛情を感じました。

藍染め体験

※要予約

藍染計良
〒645-0303 田辺市龍神村小家972-36 アトリエ龍神の家2A棟
TEL・FAX 0739-77-0031